中小企業診断士を取った後、または取得を検討する中で「もう1つ資格を取って差別化したい」と考える人は多いはず。経営コンサル領域は競合が増えており、診断士単体では「持ってて当然」になりつつあります。
結論から言うと、診断士のダブルライセンスとして最も費用対効果が高いのは「FP2級」「簿記2級」「社労士」「行政書士」の4つです。それぞれ目的が異なるので、自分のキャリア戦略に合わせて選ぶのがコツです。
この記事では、診断士保有者の視点で、各組み合わせのメリット・年収アップ効果・勉強時間・おすすめの講座まで、実体験ベースで解説します。
中小企業診断士を約400時間で一発合格、社内公募を2回活用してキャリアチェンジ。経営企画として副業コンサル30万円を獲得した経験あり(→体験記)。
結論:診断士ダブルライセンスは目的別に選ぶ
| 目的 | おすすめの組み合わせ | 追加勉強時間 |
|---|---|---|
| 副業で稼ぎたい | 診断士 × FP2級 | 150〜300h |
| 転職・年収アップ | 診断士 × 簿記2級 | 250〜400h |
| 独立開業(顧問契約獲得) | 診断士 × 社労士 | 800〜1,000h |
| 独立開業(書類業務拡大) | 診断士 × 行政書士 | 500〜800h |
| 金融・財務系特化 | 診断士 × FP1級 or 証券アナリスト | 500〜800h |
どれを選ぶかで「投資する時間」も「リターン」も大きく変わります。順に詳しく見ていきましょう。
なぜ診断士はダブルライセンスを目指すべきか
① 診断士単体では「凡庸」になりつつある
診断士の登録者数は約30,000人。毎年1,000人以上が新規登録しています。経営コンサル領域では「持ってて当たり前」のポジションになりつつあり、単体で目立つのは難しい。
② ダブルで「専門性×幅」が出る
診断士は「経営全般を見られる」のが強み。そこに「特定領域の深い専門性」を加えると、クライアント側から見た価値が一段上がります。例:「経営×財務」「経営×労務」「経営×法務」など。
③ 副業案件の獲得チャンスが2倍になる
FP保有なら家計改善・退職金運用、社労士なら助成金申請、行政書士なら許認可申請——と案件の入り口が複数できる。「診断士1本」より「診断士+α」のほうが副業マッチングサイトで指名されやすいです。
① 診断士 × FP2級:副業で最強のコンビ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追加勉強時間 | 150〜300時間 |
| 難易度 | ★★☆☆☆(診断士に比べ易しい) |
| 講座費用 | 3〜6万円程度 |
| 合格までの期間 | 3〜6ヶ月 |
| 主な活用先 | 家計コンサル、退職金運用相談、保険見直し |
なぜ最強コンビなのか
診断士は「企業」を見る資格、FP2級は「個人の資産」を見る資格。対象が完全に補完関係になっており、副業の幅が一気に広がります。
具体的には:
- 中小企業の経営者向け:会社経営(診断士)+ 経営者個人の資産形成・退職金運用(FP)の両方を提案できる
- 個人事業主向け:事業計画(診断士)+ 税金・保険最適化(FP)でワンストップ提案
- セミナー登壇:「経営者が知るべきお金の話」みたいなテーマで講演依頼が増える
FP2級の取り方
FP2級は独学でも十分受かるレベル。ただし時間効率を考えるなら通信講座が安全です。スタディングのFP2級講座は4,950円(FP3級)〜と業界最安クラス。
FP2級の通信講座比較は FP2級の通信講座おすすめ6選、独学派は FP2級は独学で取れる? を参照。
② 診断士 × 簿記2級:転職市場で評価される鉄板
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追加勉強時間 | 250〜400時間 |
| 難易度 | ★★★☆☆ |
| 講座費用 | 2〜5万円程度 |
| 合格までの期間 | 4〜8ヶ月 |
| 主な活用先 | 経営企画、CFO候補、経理マネージャー、コンサルファーム |
なぜ転職に強いか
診断士の「経営戦略・マーケティング」スキルに、簿記2級の「実務会計(仕訳・決算・原価計算)」が加わると、「数字を読めて戦略を描ける」人材として一段評価される。経営企画・CFO候補・コンサル業界の中途採用で年収アップが狙える組み合わせです。
診断士の財務会計は1次試験で学ぶレベル。「実務で使える」レベルには簿記2級まで取った方が確実。特に「工業簿記」を学ぶことで原価計算・損益分岐点分析が肌感覚で身につきます。
年収アップ効果
大手転職エージェントの公開データでは、簿記2級保有で年収+30〜80万円のオファー上振れ事例多数。診断士と組み合わせれば+100万円超の事例もあります(マネジメント経験者の場合)。
関連: 簿記2級を活かした転職先・年収・キャリアパス、簿記2級の通信講座おすすめ6選
③ 診断士 × 社労士:独立開業で顧問契約の入り口
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追加勉強時間 | 800〜1,000時間 |
| 難易度 | ★★★★★ |
| 講座費用 | 10〜30万円 |
| 合格までの期間 | 1〜2年 |
| 主な活用先 | 独立開業(労務顧問契約)、助成金申請代行、人事制度設計 |
独立で「定期収入」を作れる組み合わせ
診断士業務は「プロジェクト型」(単発が多い)が中心ですが、社労士は「顧問契約」(毎月定額)が組める独占業務を持っています。
独立開業を視野に入れるなら、「経営戦略コンサル(診断士)+ 労務顧問契約(社労士)」が最強の組み合わせ。月額3〜10万円の顧問契約を5社獲得すれば、月収50万円超の安定収入が作れます。
勉強時間が大きいのが難点
社労士は診断士より勉強時間が多い(800〜1,000h)。受験だけで2〜3年覚悟が必要です。「独立志向」がハッキリしている人だけ挑戦するのが現実的。
関連: 社労士の通信講座おすすめ6選、社労士を活かした転職先・年収
④ 診断士 × 行政書士:書類業務で案件の入口を増やす
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 追加勉強時間 | 500〜800時間 |
| 難易度 | ★★★★☆ |
| 講座費用 | 5〜20万円 |
| 合格までの期間 | 8ヶ月〜1.5年 |
| 主な活用先 | 独立開業(補助金申請、各種許認可、契約書作成) |
「経営×書類業務」で独立の幅が広がる
診断士は補助金申請の支援が得意(経営革新計画、ものづくり補助金、事業再構築補助金など)。行政書士は許認可申請の独占業務を持っているので、組み合わせると「補助金から各種許認可まで全部対応」できる事務所になります。
特に「建設業許可」「飲食店営業許可」「古物商許可」などは行政書士の独占業務。創業支援案件で「会社設立+許認可+補助金」をワンストップで提供できると、紹介が紹介を呼びやすい。
関連: 行政書士の通信講座おすすめ6選、行政書士の年収はいくら?
⑤ 診断士 × FP1級 or 証券アナリスト:金融特化の専門性
金融機関への転職、または高所得層向けのウェルスマネジメント領域に進みたい場合は、FP1級または証券アナリストを狙う選択肢もあります。
| 項目 | FP1級 | 証券アナリスト |
|---|---|---|
| 追加勉強時間 | 500〜800h | 1,000〜1,500h |
| 難易度 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
| 主な活用先 | 銀行・証券・FP事務所 | 運用会社・証券・コンサル |
金融機関への転職を本気で狙うなら証券アナリスト、富裕層向けFPとして独立するならFP1級が現実的。ただし勉強時間が大きいので、明確な目的がない限り無理に挑戦する必要はありません。
避けたほうがいい組み合わせ
診断士 × 税理士/公認会計士
勉強時間が2,000〜3,000時間追加と大きすぎる。会計士・税理士は独立した専門資格なので、診断士のサブとして取るには負担が見合いません。最初から会計士・税理士を本命にするか、診断士1本で深掘りするほうが現実的。
診断士 × 司法書士
同じく勉強時間2,000h超。業務領域も診断士とほぼ重ならない(司法書士は登記が独占業務)ため、相乗効果が薄い。
診断士 × 宅建士
不動産業界に特化したい場合のみ意味がある。一般的な経営コンサル業務とのシナジーは限定的。「不動産業の経営支援を専門にする」と決めているなら有効。宅建の通信講座比較
取得順序のおすすめ
診断士を先に取るのか、後にするのかも重要な戦略判断です。
パターンA:診断士を先に取る(推奨)
診断士は「経営の地図」を提供する資格。これを先に取ると、その後の他資格の意味付けが明確になります(例:FPは個人マネー、簿記は実務会計、社労士は労務、行政書士は許認可——と「経営の地図」上での位置づけが見える)。
パターンB:先に他資格を取って診断士で集約
すでに簿記2級・FP2級・社労士などを保有している人は、診断士を取ることで「点」が「面」になる感覚があります。バラバラだった知識が経営戦略の文脈で統合される。
独立志向か副業志向かで選び方が変わる
| 志向 | 1stおすすめ | 2ndおすすめ |
|---|---|---|
| 副業(会社員継続) | FP2級 | 簿記2級 |
| 転職・年収アップ | 簿記2級 | FP2級 |
| 独立(顧問契約型) | 社労士 | 行政書士 |
| 独立(補助金・許認可型) | 行政書士 | 社労士 |
| 金融特化 | FP1級 | 証券アナリスト |
勉強時間と費用のシミュレーション
| 組み合わせ | 合計勉強時間 | 合計費用(講座代) | 合計期間 |
|---|---|---|---|
| 診断士+FP2級 | 1,150〜1,500h | 10〜13万円 | 1.5〜2年 |
| 診断士+簿記2級 | 1,250〜1,600h | 9〜12万円 | 1.5〜2年 |
| 診断士+社労士 | 1,800〜2,200h | 17〜37万円 | 2〜3年 |
| 診断士+行政書士 | 1,500〜2,000h | 12〜27万円 | 2〜3年 |
FP2級・簿記2級は1.5〜2年で完了する現実的なライン。社労士・行政書士は2〜3年覚悟が必要です。
合格後の年収シミュレーション
| 状態 | 年収レンジ目安 |
|---|---|
| 診断士のみ(会社員) | 500〜800万円 |
| 診断士+FP2級(副業含む) | 600〜1,000万円 |
| 診断士+簿記2級(経営企画転職) | 700〜1,200万円 |
| 診断士+社労士(独立開業) | 500〜2,000万円(事業規模次第) |
| 診断士+行政書士(独立開業) | 400〜1,500万円(事業規模次第) |
独立系は当たり外れが大きい代わりに、上限が高い。会社員で副業派は安定的に+100〜300万円のレンジで動けます。
よくある質問
Q. 診断士とFP2級は何ヶ月くらいで両方取れますか?
順番にやるなら1.5〜2年が現実的。FP2級から取れば3〜6ヶ月、続けて診断士を1〜1.5年。
Q. 診断士と簿記、どちらを先に取るべき?
簿記3級〜2級を先に取る人が多い。診断士の財務会計が一気に楽になります。簿記2級保有者なら診断士の財務会計はほぼ素通りできるレベル。
Q. ダブルライセンスのコスパが本当にいい?
「副業・転職・独立」のいずれかの明確な目的があるなら間違いなくコスパ良い。ただし「なんとなくもう1個取る」だけでは時間と費用に見合わないので、目的設計が大事。
Q. 同時並行で2つ勉強するのは可能?
難関資格2つの同時並行は非推奨。1つずつ集中したほうが結果的に早い。例外的にFP2級と簿記2級は同時並行でも可。
Q. ダブルライセンスでも仕事が来ない場合は?
資格は「入口」を増やすだけ。実務経験+営業活動+発信がないと案件は来ません。資格取得後にX/note/ブログでの発信も並行して始めるのが定石。
まとめ:目的を決めてから組み合わせを選ぶ
- 診断士のダブルライセンスは目的別に4タイプ:副業ならFP、転職なら簿記、独立なら社労士or行政書士
- FP2級・簿記2級は追加300〜400h/3〜8ヶ月で取れる現実的な選択
- 社労士・行政書士は追加500〜1,000hの覚悟が必要、独立志向の人向け
- 避けるべき組み合わせ:税理士・会計士・司法書士(負担が大きすぎる)
- 取得順序は診断士先のほうがおすすめ(経営の地図ができる)
- 会社員副業の年収目安は600〜1,000万円、独立は400〜2,000万円とレンジ広い
- 関連記事:診断士の通信講座6選 / FP2級の通信講座6選 / 簿記2級の通信講座6選 / 社労士の通信講座6選 / 行政書士の通信講座6選
まずは「自分が3年後にどこに立ちたいか」を決めてから、それに合う資格を選びましょう。診断士+αの戦略を間違えると、貴重な数百〜千時間が無駄になります。

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